日光猿軍団と江戸村探検記(3)


松の廊下  15. 吉良邸を復元した見世物は全く良く出来ていて本当に赤穂浪士の笛の音が聞こえてきそうでした。中は中世の歴史的事件を順に追ったジオラマによる博物館になっています。メインは松の廊下の刃傷事件の復元です。本当に生きているみたいです。遠近法が取り入れられていて奥行きが感じられます。他には関ヶ原・犬公方・絵島・白虎隊・桜田門外の変などがあります。

石抱きの責め苦  16. 日本橋小伝馬町にあった牢屋敷の見世物です。当時懲役刑は無かったので今で言うところの拘置所みたいな所です。刑が決まるとここで即斬首などが行われたそうです。"見せしめ"の意味が強く、当時「悪い事をすれば伝馬町だよ」と言えば泣く子も黙る存在だったそうです。今では「悪い事をすれば野村沙知代みたいになっちゃうよ」と言ったところでしょうか?さて手形1枚を払って中に入るとまず拷問所のジオラマが目に入ります。唐丸籠に"もっこ"と言った罪人運搬具や木馬、伊豆石、そろばん板と言う拷問道具が展示してあります。鳥篭みたいな形の唐丸篭は確か松本清張シリーズの映画『無宿人別帖』の冒頭で無宿人を佐渡に運ぶシーンに使われていたのに印象が強く残っています。"もっこ"は映画などで良く見る土砂などを運ぶ棒に付けた藁網ですがこれで病気や死んだ罪人を運搬したり町人や百姓の容疑者を奉行所などの取り調べに渡すのに使ったそうです。良く「おだてともっこにゃのりたくねぇ」と言われたそうです。写真は"石抱きの責め苦"を受けている所です。前述の"そろばん板"と言う三角形の板切れが連続した装置の上に正座させられて伊豆石を載せられます。超リアルなジオラマで呻き声が響き本当に苦しそうです。隣には女性の囚人も同じ拷問を受けています。近代の今拷問による自白の強要などもっての外ですが、中世の封建制度の世界ではこのような残酷な事が当たり前のように行われていたのです。ロクな証拠も無く冤罪もさぞかし多かった事でしょう。石を載せる下男の無表情な顔を見ていると全く背筋が寒くなってきます。

武士

獄門鋸引き晒し心中未遂の晒し
 17.中世の残酷な刑罰のジオラマです。左が獄門で中が鋸引き晒しで右が心中未遂の晒しです。他にも外に叩きに磔や火刑、入れ墨などについて詳しく説明した立派な板が立っています。容赦なくかなり血生臭くおぞましいものです。現代、日本でも死刑廃止論が叫ばれていますが、やはりこういった肉体的な罰則は人道的に言っても好ましくありません。しかしあまり罰則を緩めても犯罪は減りません。例えば初犯でも芸能人の覚醒剤犯罪のように執行猶予などは付けない方が良いのではないでしょうか?

大牢  18. 最大の見所は何と言っても暗く陰鬱な牢屋のジオラマです。ここは法の及ばない特殊な暗黒世界です。身分ごと男女ごとに分かれていて町人用の大牢(おおろう)と呼ばれる牢の奥には無期入牢扱いの牢名主が構えていて手下が新入りを棒で叩き(実際は"キメ板"と呼ばれる硬い板切れで)罪状を聞いたり"ツル"と呼ばれる賄賂(まいない)を要求したりしています。地獄の沙汰も金次第というわけです(畳1帖100両で名主は12枚もの畳の上に悠々と構えています)。これも人形とは言え本物さながらで牢名主の胴声が大きく響き本当に自分が叩かれているようでした。 帰りしな丁度ラジオで牢屋敷のドラマをやっていて参考になりました。ここでは罪人も少なくて牢も空いていますが実際は(特に幕末など)たくさん詰め込まれて1畳に10人以上が寝起きすると言うような非人間的な扱いを受けていたそうです。とても寝るどころではなく鼾でもかこうものなら真っ先に殺されたそうです。今でも不況で犯罪が増えて刑務所の雑居房は定員オーバーの状態だそうですが、やはり犯罪は引き合いません、悪い事はしたくないものです。なお、この牢屋敷については中公新書から『物語 江戸牢屋敷』という珍しい本が出ていますので興味のある方は読んで下さい。牢屋敷の仕組み(石出帯刀《いしでたてわき》という名の世襲の牢屋奉行や名主から始まる牢屋だけの独特の身分制度など)や儀式(掟・しきたり)から人足寄場、流刑やキリシタン弾圧、拷問による詰問についてまで詳しく記述され、また役人に袖の下を渡して禁制品を調達したり、身の毛もよだつ"作造り"と称するリストラ殺人とか娑婆で世話になった(イジメられた)極悪人の岡っ引き囚人に"ごちそう"と称し糞尿を喰らわすリンチなど("糞でも喰らいやがれ"という罵言はここから来たのでしょうか?)、現代の世界でも充分に"ありそうな"(あくまでも)場面があり大変参考になります。また投獄斬首された"牢獄の人" "幕末改革の憂国烈士" 吉田松陰、鎖国批判し投獄され牢名主になった洋学者 高野長英、幕府禁制の闇取引に手を染め牢屋入りした易占の祖 高島嘉右衛門の興味深い話も載っています。

武士

閻魔大王  19. 地獄寺はお化け屋敷みたいなものですが何と言っても閻魔大王が迫力があります。傍らに赤鬼、青鬼を従えています。閻魔大王については第7号の太宗寺で紹介する予定ですがここの閻魔も良く出来ていて本当に裁きを受けているようです。地獄を抜けると最後に頭上に阿弥陀如来がご来光して外に出られます。地獄・極楽は古くからの仏教思想を現したものです。

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ドライブ

日光帰り道情報

※補足1 日光猿軍団「お猿の劇場」内は原則的には撮影が禁止されていますので、念の為写真にはモザイクを掛けて置きました。
※補足2 江戸村の関所に掲げられている看板の「礼法観学道場」とは、観劇などを通して日本の文化や礼法を学ぶ施設と言う意味だそうです。


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